たった30秒!手洗いの科学的根拠を分かりやすく解説
手洗いはなぜ大切なのでしょうか?
私たちは普段の生活の中で、様々なものに触れています。ドアノブ、電気のスイッチ、お金、スマートフォン...。こうした物の表面には、目には見えない小さな「菌」や「ウイルス」がたくさん付着していることがあります。
これらの菌やウイルスは、手に付いたまま食事をしたり、顔を触ったりすることで、体の中に入り込み、お腹が痛くなったり、熱が出たりといった病気の原因になることがあります。
だからこそ、手洗いは病気を防ぐための、とても簡単で効果的な方法なのです。特に、外から帰ってきたとき、食事の前、トイレの後など、けがれやすいタイミングでの手洗いは欠かせません。
なぜ「石鹸」と「流水」を使うのでしょうか?
ただ水で手を濡らすだけでは、手に付いた汚れや菌、ウイルスを十分に落とすことはできません。手に付いた汚れの中には、油分を含んだものや、菌やウイルスがその油分に隠れていることも多いからです。
ここで活躍するのが「石鹸」です。石鹸には、水と油の両方と仲良くなれる特別な性質があります。石鹸を使うと、手に付いた汚れや油分を「包み込む」ようにして手から剥がれやすくしてくれます。まるで、お皿の油汚れを洗剤が浮かび上がらせるのに似ていますね。
そして、「流水」は、石鹸で手から剥がれやすくなった汚れや、石鹸によって働きを弱められた菌やウイルスを、まとめてきれいに洗い流す役割をします。勢いのある水でしっかりと洗い流すことで、手からこれらの目に見えない小さなやっかいなものを追い出すことができるのです。
なぜ「たった30秒」の手洗いが必要なのでしょうか?
さて、ただ石鹸をつけてサッと水で流すだけでは、実は十分に菌やウイルスを落としきれないことが分かっています。専門機関によると、手洗いは石鹸を使って、しっかりと30秒程度かけて行うことが推奨されています。
この「30秒」という時間には、大切な意味があります。
- 石鹸が十分に仕事をする時間: 石鹸が手に付いた汚れや油分にしっかりとなじみ、菌やウイルスを包み込んで手から剥がれやすい状態にするためには、ある程度の時間が必要です。
- 洗い残しなく洗う時間: 指の間、爪の中、手の甲、手首など、洗い残しやすい部分を含め、手の隅々まで丁寧に洗うためには、どうしても時間が必要です。石鹸の泡をしっかりと立て、これらの部分を意識しながら洗うことで、物理的に菌やウイルスを剥がす効果も高まります。
- 流水でしっかり洗い流す時間: 石鹸で剥がれた汚れや菌、ウイルスを、流水で確実に手から洗い流すためにも時間が必要です。
例えば、歌を歌いながら手洗いをするという方法を聞いたことがあるかもしれません。「ハッピーバースデー」の歌を最初から最後まで2回歌うと、ちょうど30秒くらいの長さになると言われています。このように、目安となる時間を使って、焦らず丁寧に洗うことが、効果的な手洗いには欠かせないのです。
科学的な手洗いのポイント
手洗いの効果を最大限にするためには、以下のポイントを意識しましょう。
- 石鹸をしっかり泡立てる: 泡がクッションになり、汚れを効果的に包み込みます。
- 指の間、爪の先、手の甲、手首も丁寧に: これらの部分は洗い残しが多い場所です。指を組んだり、親指を回して洗ったりと、洗い方を工夫しましょう。
- たっぷりの流水でしっかり洗い流す: 石鹸の成分や剥がれた汚れが手に残らないように、十分にすすぎます。
- 清潔なタオルやペーパータオルで拭く: 濡れたままの手には再び菌がつきやすいので、清潔なもので水分をしっかり拭き取りましょう。
これらのステップを、推奨されている30秒という時間を目安に行うことで、手に付いたほとんどの菌やウイルスを効果的に減らすことができるのです。これは、私たちの健康を守るための、科学に裏付けられた大切な習慣なのです。
手洗いの科学的な意味を理解することで、子供たちにもその大切さを、より具体的に、そして納得してもらえるように伝えることができるはずです。「なぜ石鹸を使うの?」「なんでこんなに長く洗うの?」という子供たちの疑問にも、今日学んだことを活かして答えてあげてください。