手洗い完了!でも、その手は本当に清潔?拭き方の科学
手洗いは「拭く」までが大切です
毎日、食事の前や外出から帰った後、私たちは手を洗います。石鹸と水で汚れや見えない小さなバイキンを洗い流すことは、とても大切な習慣です。しかし、手洗いはただ水で流して終わりではありません。「拭く」という最後のステップにも、実は大切な科学的な理由が隠されています。
この最後の「拭く」という行動が、せっかくきれいにした手の清潔さを左右することがあります。なぜ拭くことがそれほど重要なのでしょうか。そして、どのように拭くのが正しいのでしょうか。今回は、手洗い後の「拭く」ことに焦点を当てて、その理由と方法を科学的に、そして分かりやすく解説していきます。
なぜ手洗い後も「拭く」ことが大切なの?
手洗いできれいにしたはずなのに、なぜ拭く必要があるのかと疑問に感じるかもしれません。その理由は大きく二つあります。
一つ目は、濡れた手はバイキンが戻ってきやすい環境だからです。 公園の地面に水たまりができると、風で飛んできた砂ぼこりや枯れ葉が集まってきやすいですよね。それと同じように、水滴が残っている手の表面は、空気中に漂う目に見えない小さなバイキンが付着しやすくなります。せっかく洗い流したバイキンが、またすぐに手に戻ってきてしまっては、手洗いの効果が半減してしまいます。
二つ目は、手に残った水滴がバイキンを広げてしまう可能性があるからです。 もし手が濡れたまま、ドアノブやスイッチ、電話などに触れてしまうと、その水滴と一緒に、わずかに残っていたバイキンもそれらの物に付着する可能性があります。そして、次にその物に触れた人が、そのバイキンをまた手につけてしまう、ということが起こりかねません。厚生労働省などの専門機関も、手洗い後には清潔なタオルやペーパータオルでしっかりと水気を拭き取ることが大切だと推奨しています。
清潔なタオルを使う科学的な理由
手が濡れているとバイキンが戻ってきやすいことは分かりました。では、どんなタオルで拭いても良いのでしょうか?答えは「いいえ、清潔なタオルで拭くことが大切です」です。
もし、家族みんなで何日も使い回しているタオルで手を拭いたらどうなるでしょう。そのタオルには、前の人が手を拭いたときに手に残っていたバイキンや、湿った環境で増えたバイキンがたくさん潜んでいる可能性があります。せっかく手をきれいにしても、そのタオルで拭くことで、また手にバイキンを移してしまうことになります。
これは、使い終わった食器を洗わずにまた使ってしまうのと同じようなものです。洗ってない食器には食べ物の残りカスが残っているように、清潔ではないタオルには、目に見えないバイキンがたくさん残っている可能性があるのです。
だからこそ、手洗いの後には、清潔な個人用のタオルや、使い捨てのペーパータオルを使用することが非常に重要になります。タオルはこまめに洗濯し、しっかり乾燥させることが、バイキンを増やさないための大切なポイントです。
正しい手の拭き方で清潔を保つ
それでは、具体的にどのように手を拭けばよいのでしょうか。ただゴシゴシと擦れば良いというわけではありません。
- 清潔なタオルを用意します:まずは、清潔な乾いたタオル、または使い捨てのペーパータオルを準備してください。
- 水分を優しく吸い取ります:手をゴシゴシと擦るのではなく、タオルで手のひら、手の甲、指の間、そして手首まで、水滴を吸い取るように優しく押さえるのがポイントです。まるで、スポンジが水を吸い取るかのように、丁寧に水分を取り除いてください。
- 指先や爪の間も忘れずに:特に指の腹や指先、そして爪の周りなど、水分が残りやすい場所は意識して拭き取りましょう。これまでの手洗いで落としきれなかった目に見えない汚れが、まだ残っている可能性もあります。
手を隅々までしっかりと乾かすことで、バイキンが付着しにくい状態を保ち、手洗いによって得られた清潔な状態を長く維持することができます。
まとめ
手洗いは、石鹸で汚れやバイキンを洗い流すだけでなく、「清潔なタオルでしっかりと拭き乾かす」ところまでが、とても大切な一連のプロセスです。濡れた手の危険性や、清潔なタオルの重要性を理解することで、私たちはより効果的にバイキンから身を守ることができます。
お子さんに手洗いの大切さを伝える際には、「手を洗った後は、びしょびしょの手のままだと、またバイキンが戻ってきちゃうんだよ。だから、きれいなタオルで、お水さんを全部拭き取ってあげようね」といったように、今回の科学的な理由を優しい言葉で伝えてみてください。手洗い習慣が、お子さんの健康を守る力強い味方となるでしょう。